職業としての行政法学者

って、大上段なタイトルつけなくても。別に、「行政法学はカネのなる木か?」でもよかったけど、さすがにそれは、と思って改題。

行政法学者は金にならんぞ。お前もやめとけやめとけ」
某商法マニアの友人に、半年くらい前に言われたせりふです。当時、私は恩師二人のおかげで行政法にどっぷりはまり込んで、「このまま大学残ろうかな」*1と考え出した頃でした。
別に金にならなくったってやりたいこと、意義あることならばやったろうじゃん、と思うのですが、そういういい方されると萎えますよね。しかも、根拠ないだろ、と思ってたら
「うちの叔父がそうなんだよ。行政法学者はもともとパイが小さいから、お金が稼げるのはほんの一握りだって愚痴ってるよ」
とか言うから余計に萎える。
そうか、行政法を志すというのはローに逝きながら研究論文書いてドイツ語やってほかの外国語もやって博士にいって論文書いて婚期を逃した挙句に稼ぎは小さいのかぁとしみじみ思ったものでした。


ところが、そんなところでふたつのエントリを発見。
思うところを、一学生としての立場で書いてみたいと思います。


id:dpi:20050611 カネになる行政法
いつもお世話になっている若手行政法学者のdpiさんの興味深い指摘・展望です。
公物法の研究については、実は私はまだまったくといっていいほどわかりません。
学部の講義がなくなってしまいましたし、dpiさんの紹介している公共政策大学院の講義に紛れ込むこともできそうにありません。法科大学院からいけるのかどうかもちょっとわかりかねますし。(ローの時間割はわりとタイトらしいので、授業自体が被っているという最悪のケースもありえます)しかし、行政法学者になりたいにもローに逝けという制度なのですから、制度的な手当てもちゃんとして欲しいと思っているのですが・・・。


また、そちらにTBが張られていた霞ヶ関Bewaadさんの
カネになっていた行政法も、大変興味深く読ませていただきました。
コンプライアンスだと、儲かるんですか・・・。たしかに、個別法の分野にまでは研究は追いついておらず、近年やっと手続法、訴訟法やパブリックコメント改革(こちらはまだ策定中)など、一般的な手続面での改革が進んでいるだけのようですので、個別の法律の解釈なんて、とびとびですよね。
もっとも、総論の研究が進めばそれが波及して解釈論にも結びつくことは必至なわけですが、「カネになる」法律だけをちゃんとマスターして解釈論を展開することを専門とする方がいるのなら、そちらにお任せしたいのが本音でしょう。こういう「儲け方」を専門とする弁護士になるのも、悪くないかもしれません。


でも、自分が一番感化されたのはあの有名な個人タクシー事件ですので、「カネになる」立場で研究していくのは、ちょっとやりにくいかもしれませんね。まだまだ、思うところは尽きませんが、もう学校に逝く時間なんでこれくらいで。

*1:別に留年しようという意味ではない。念のため。