行政法研究フォーラム覚書

著作権侵害!と叫ばれるのが怖いので詳解はしませんが、かなり面白かったです。
詳解版が欲しい人は個人的に連絡ください。待ってれば出版される気がしないでもないが。
不正確だったら責任は私にあります。
もし間違っていたら出席者の方訂正コメントください。>えっけ先生

はじめの報告者は総務省行政管理局行政手続室長 白岩俊氏。
タイトルは「行政手続法の10年を回顧して」とのことだったんですが、
面白かったのは手続法効果、ともいえるんじゃないか、という行政一般法や制度の早期誕生。
手続法の生み出した「申請」「標準処理期間」などの概念のおかげ、また手続法のときに関係省庁の反発をたくさん買っておいたせいか(?)、申請負担軽減対策が可能になったりしたとのことです。
また、「処分性と行政指導の二分法」についても触れていて、これを白岩氏評して曰く「行政手続法が生み出し、地方分権一括法で定着した」とのこと。しかし、どっちだと割り切れないものもあるし、手続法制定時に実務の基準として生み出された通達の判断基準*1も、食品衛生法事件などでは使えないわけで・・・と、処分性について悩んでいる様子でした。
うーん、気が合うかもw


つぎの報告者は学習院大学の常岡孝好教授。「行政立法手続の法制化」というタイトルで、ついにパブリックコメント(これからの呼び名は「意見公募制度」。)*2が法律の制度になったことを受け、その特徴を前史である閣議決定によるパブリックコメント制度と適宜比較しながら解説していただけました。
ここで重要なのは最後の結果の公表時に考慮した理由(それが採用されてもされなくても)を示すこと、これが適切な意見集約に資すると考えている様子です。


が、どうですかねえ。Kaffeepauseとしては、事実は小説よりも奇なり、どんな意見が飛び出してくるか、どんな意見が採用されるかはよくわからないわけで、幅広い参加があるという前提が崩れると、どうでもいい制度に成り下がるのではないか、という恐れは一応あると思います。*3


さらに常岡報告で印象的だったのが、彼がこの制度を民主政原理のひとつの表れだと位置づけ、さらなる「参加権」の保障を課題にうたっている点。なんかいきなり行政法総論の根本に引き戻されたのでなかなかすぐに頭がついていかなかった*4んですが、これはオオハシストKaffeepauseとしてはちゃんと考えておかねばなりませんな。塩野教科書だとあっさり流されがちな参加の契機ですが、大橋教科書はそれが根本に流れているといっても言いすぎじゃないですよね・・・ねえ、paco先生。


ほかにも細かい点とか裏話とかがたくさんあって、消化し切れてないのが現状*5なんですが、一番印象に残った点をまとめると以上のとおりです。
久々に行政法総論の世界に漬かって、ひいひい言いながら復習してます。
行為形式論とかも改めて問題になるし。


それにしても今学期は行政法の講義は無いのに、民訴のゼミで情報公開法制の発表をやるし、paco先生から救済法一般の総合問題飛んでくるし、ドイツ法で法律の留保出てくるし、消費者法でもちょこっと、社会保障法ではもっとごつい判例が出てくるし、最後は行政手続法と民主政原理な訳で、なんか殆どの分野に一度は触れてるw
あ、あとは国賠・・・(爆)

*1:どういう用語が使われているかで一応処分か否かを決定する、今でも重宝する便利な基準らしい

*2:この用語ひとつもひと悶着あったらしいが・・・

*3:茗荷谷のビル建設のごたごたは意見集約の難しさをよく示してると思うんだけどなあ。

*4:救済法ばっかやってるから・・・

*5:質疑応答時のA部先生についていくのが大変でした。す、凄い・・・。