カシオXD-GW7150(ドイツ語特化型電子辞書)利用レポ

アマゾンのお急ぎ便をはじめて利用。注文から1日半で届くので、下手に激安店で取り寄せるより安い&早い*1

さて、この電子辞書の最大のウリは、なんといっても小学館の独和大辞典(第二版)(以下、このエントリでは「大辞典」と略す)が初めて電子辞書に搭載されたモデル、だということでしょう。ドイツ語を専門的に使わなければならなくなった人からすれば、独和大辞典がないと仕事にならないのです。これは、法学に限らないでしょうね。とはいえ、もともと持っていた電子辞書(カシオのXD-7100)にはクラウン独和が入っており、電子辞書でドイツ語が引けるという恩恵にはすでにあずかっていた*2ので、それと比べて、どれくらいすごいのか、という点を以下雑駁にまとめてみたいと思います。

独和大辞典の凄さを改めて実感

早速今読んでいる文献のお供に使い始めてみたところ、いつもは

1)わからない単語がある→全く見当つかない→紙の大辞典を引く
2)わからない単語がある→なんとなくこれかな・・・→クラウン独和@電子辞書を引く→訳語がしっくり来ない→大辞典を引く
3)わからない単語がある→とりあえず引いてみよう→クラウン独和を引く→訳語がしっくりこない→大辞典@紙を引く→どうもおかしい→DUDEN(独独)を引く→なんとかわかる

というパターンが多かったように思います。
それがこの電子辞書になると

(a) 上述1)と2)の場合:とりあえず大辞典で引いてみる→OK
(b) とりあえず大辞典を引いてみたがおかしい→ジャンプ機能でクラウンに飛んでみる→これだ!
(b')(・・・さらに不明なら、DUDEN&Oxfordにも聞いてみる)

で、大体おさまるようになったので、スピードは格段に上がりました。

検索にはコツがいる

ただ、最初、非常に戸惑った点もありました。
紙の大辞典を引いたことがある方ならわかると思うのですが、一番助かるのは、用例の前置詞の部分と、成句になっている部分が太文字になっていて、前置詞と動詞のまとまりを探すのが非常に容易であるという点です。この点は、電子辞書版ではどうなっているかというと・・・
太字部分は用例ボタンの中に格納されています。
そうでない字の部分は、そのまま本文に搭載されています。
つまり、どういうことが起こるかというと・・・
基本語ほど読みにくいorz


たとえば、stehen(英語で言うところのstandに相当する動詞)の項をみてみます。
紙ベースの大辞典(コンパクト版)でも見開きまるまる2p半ありますので、どうなるかというと・・・5画面分しかない。あれ?と思って用例ボタンを押してからスクロールすると、あるわあるわ用例の数。つまり、主要な意味を載せた本文とそれ以外の部分を分けているわけです。

すると、たいてい調べるときというのは
「auf〜とstehenが関係するのはわかるが、ここは「〜の上に立つ」って意味じゃあうまくいかないなあ」と思って引くわけです。基本動詞を引くときというのは、その語の意味を引くというよりも、「なんとなくは読めるがニュアンスがわからん」というときが多く、そうなると「この前置詞との関係ではどういう訳があるのかなあ」と思って引くことが多くなります。
この場合、当該組み合わせが成句である場合と、単に動詞と前置詞の組み合わせの場合、(そしてときどきあるのではずかしいのですが、単に分離動詞の前つづりの読み違えだと気づく場合)がありえます。

それを踏まえて、まず紙ベース*3のほうで見てみると・・・
独和大辞典では、特定の前置詞と結びついてこのような意味、という場合には

f)((auf et4 ))(・・・に刑が)課せられている、(・・・に懸賞金が)かかっている

というように、意味の部分に書いてあることが多いです。
しかし、

5((本来の語の意味が薄れてseinに近い機能で))
1)((様態を示す語句と)) 〜の状態にある

という場合もあるわけで、その場合は、意味のあとに用例が続きます。


電子辞書版では用例が置かれている位置に[用例]と書いてあって、そこは用例ボタンを押すと見ることができるのですが、その中にもaufが関係する用例があります。


・・・するとですね、紙で見ると一覧できるのに、電子辞書版では一覧できない、ということがあります。(まあ、用例ボタンをおしてスクロールすればいいんですが。)


クラウン電子辞書のほうには成句検索があるから、じゃあこっちにもあるかな、と思って大辞典のTOPにいくと・・・ない。成句検索の窓がないのです。

解決:例文検索を使いこなせ

途方にくれたのですが、解決策がありました。
どうやらまとめて例文検索でひっかかる仕様なのです。でも、そうすると、全く関係ないものまでひっかかってしまう・・・(auf&stehenでは、181個かかります)。

そういうときは、一度クラウンに戻って成句検索をかけると、実はもとの文中で見落としていたFussまで成句に関係することがわかったりします。それであらためて独和大辞典で(auf&stehen&fuss)で検索すると、クラウンよりもはるかに多い用例を見ることができました。


また、「さらに検索」ボタンで検索のやり方を変えることができます。語順を指定したり、連続で出ているものだけを検索させるようにすれば、成句はかなり探しやすくなります。


ちなみに、Duden&Oxfordにはそもそも用例ボタンがないので、最初っから例文検索で探すことになります。

クラウンのほうが便利な場合

以上のように、「成句かもしれない」と思っているときにはむしろクラウンのほうが便利だったりします。また、基本的な接続詞の解説も、クラウンのほうが親切です。それはそうですよね・・・(苦笑)

結論:機能をうまく使って辞書を渡り歩く

ということで、ありたきりな結論ですが、うまいこと使い分けるというのが一番ですね。
ジャンプも便利ですが、検索中に別辞書のボタンを押して切り替えてプレビュー段階で見比べるほうが動作が軽快です。また、複数アルファベット検索をかけると、ドイツ語辞書では見つからないがブリタニカ百科事典やジーニアス英和大辞典で見つかる、ということもたまにあります。時に、ラテン語が引用されることがあるのですが、ラテン語ー英語の辞書は自宅に置きっぱなしなので*4、出先でラテン語の意味を知るためにいろんな辞書を引いてみると載っていることがあります。
このほかにもまだまだ使い方がありそうなので、購入を検討している人は、一度手にとって見るといいと思います。

*1:取りに行く交通費を鑑みれば。

*2:なお、この電子辞書買い替えのおかげで、不要になりました。引き取ってくれる方を探していますので、オフラインで面識のある方でドイツ語電子辞書が欲しい方は、ぜひ声をかけてください。格安にて譲ります。買い手がつきましので、取り消させていただきます。

*3:以下、引用は国松孝二ら編「独和大辞典(第二版)コンパクト版」(小学館・2000年)2211pより。

*4:早く学校に席が欲しい・・・環境を一元化したいよう