処分性拡大阻止の一事例?〜高根町(山梨県)簡易水道事業給水条例無効確認等請求訴訟

viahttp://d.hatena.ne.jp/Raz/20060714#p7
判決全文はこちら。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060714170334.pdf

Razさんも取り上げてますが、これは水道の基本料金について別荘に対してより高額の基本料金を課する条例改正への無効等確認訴訟(行政事件訴訟法3条4項)を認容した原審に対し、

そもそも限られた特定の者に対してのみ適用されるものではなく,本件改正条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできない

という理由で処分性はないとして破棄し、さらに

なお,被上告人らは,当審において,本件別表の無効確認を求める被上告人らの訴えは抗告訴訟として不適法であるとしても行政事件訴訟
法4条の当事者訴訟として適法である旨新たに主張しているが,抗告訴訟としての無効確認の訴えと当事者訴訟としての無効確認の訴えは別個の訴えであるところ,
被上告人らは,抗告訴訟として本件別表の無効確認を求める訴えを提起していたものであり,当事者訴訟としてこれを提起していたものではないから,被上告人らの主張はその前提を欠くものであって失当である。

として結局行政事件訴訟法上の無効確認は認めず。
ただ、,地方自治法244条3項に違反するものとして無効としているので、実質的には別荘所有者側の勝訴であることには変更がないのだけど、上記引用部分はこの先の議論に影響を与えそうだ。


条例制定行為に処分性を認めないというのは結構だが、当事者訴訟として是認されるかどうかは当事者適格との関係もあって確実とはいえない。ただ、この事案だと原告適格も認めるのだろう。とはいえ、この事案としては「当事者訴訟として提起していないから」という一部却下判決になったことはいたたまれない。改正前行訴法適用事件だから、被告適格も異なって厳格に運用されただけで、今後はなくなるんだろうか?うーん。