団体訴訟、その後

なんか、ついに来ましたね…。

団体訴訟制度に関する研究会の開催について
平成19年4月25日
公正取引委員会
1 趣旨
司法制度改革推進計画(平成14年3月19日閣議決定)や消費者基本計画
(平成17年4月8日閣議決定)において,独占禁止法及び景品表示法への団
体訴訟制度の導入について検討を行う旨が決定されており,また,平成17年
独占禁止法改正の附帯決議においても,不公正な取引方法の差止請求に関し
て,一層効果的な措置を講ずるための方策の一つとして検討を行うべきとされ
た。これを受けて,現在,公正取引委員会では,団体訴訟制度の導入に係る論
点等について検討しているところであるが,同制度の導入に当たっては,訴権
の種類,訴権を担う団体,対象とする違反行為の範囲といった論点について,
結論を得る必要がある。これらの論点について検討するため,下記のとおり有
識者から成る研究会を開催する。
2 研究会会員
別紙のとおり。
3 主な検討事項
(1) 訴権の種類
(2) 訴権を担う団体
(3) 対象とする違反行為の範囲
4 スケジュール
本研究会は平成19年5月7日に第1回会合を開催し,6月中を目途に報告
書を取りまとめ,これを公表する。

公取委のプレスリリース http://www.jftc.go.jp/pressrelease/19index.html
より。
やはり、消費者契約法の団体訴訟だけでは終わらないですね。*1

諸事情あって実はあまりコメントしたくないんですが*2
景表法と団体訴訟、といえば
景表法上の消費者の利益について「公益に完全に包摂されるような性質」と判断し、一般消費者としては、景表法の規定の適正な運用によつて得られるべき反射的な利益ないし事実上の利益が得られなかったに過ぎないから、法律上の利益にはなんら影響がないとして、消費者団体とその代表者の不服申立適格を否定した
主婦連ジュース訴訟*3があまりに有名ですが、それを立法により乗り越える、ということでしょうか。



ただ、主婦連ジュース事件の場合は、
訴訟の構造としては景表法10条[現12条]の公取委(被告)の公正取引規約認定への不服申立という形式であり、
違反行為をした私人への差止請求という構造*4ではない点に注意すべきです。
また、団体だけでなく、代表者個人の不服申立適格も否定されています。
この意味で、当該研究会がどのような訴権の構造を念頭に「団体訴訟」を語るかが気になります。

研究会報告の日程が割と早くに予定されているので、目が離せません。

*1:http://d.hatena.ne.jp/Kaffeepause/20060601/1149172634のメモとしてのエントリにあるとおり、消費者契約法12条以下で団体訴訟が導入されています。ただ、この条文、まだ未施行なので法令データベースで読む場合は注意してください。右上をクリックすると未施行部分が読めます。

*2:が、どうやら求められているようなのでコメントを若干すると

*3:最判S53.3.14民集32‐2−211(行政判例百選第5版では、Ⅱ138番事件(286p))

*4:消費者契約法12条以下は、この構造